トイレ 屎尿下水研究会 ミネルヴァ書房
江戸のまちは循環型のエコシティーだった
トイレから見るニホンの文化と歴史
人間が街を構成して大きな社会を作るほど
自然界全体の流れによる自然循環から外れてしまい
ゴミや屎尿の処理を人工的に工夫しなければならなくなる
こうした問題が表面化するのは
すでに定住生活を始めていた縄文時代に始まる
何故か川を利用する水洗トイレが世界中で発見されている
動物と同じ無しゃがみ型のウンチングスタイルが基本なのだけれど
イス型あるいは壺型の座るタイプは中国や西洋に期限がありそうだ
しかしニホンにも壺にまたがるオマルは平安期に見ることができる
西洋でも今現在駅の公衆便所などあるいはニースやアルルの田舎に入ると
しゃがみ型の水洗トイレがある
人工的な下水システムが本格化されたのは16世紀のイギリスで
エリザベス女王の思いからだとされるが
これも秀吉による大阪の街で大規模な下水システムが
施工されていることもあり何とも言えない
ニホンの場合は屎尿が肥料として売り買いされる商品価値があり
捨てるものでなかったことが他の国と違うようで
江戸のような大都市になっても船などを利用して農家に売る
循環システムが機能していた
こうした商品価値がほそぼそとでは合っても
世田谷などの郊外で昭和の30年ごろまであったように思う
使い捨てるという考え方は消費を価値とする資本主義的な発想である
循環させるという発想が大自然と調和をして行く意識環境のあり方である
すでに人間社会も選民的支配の時代は末期的状況となっており
地産地消を徹底的に考慮する生き方を見直す時期に来ていると思う