存在と非存在 191004

存在と非存在 191004
 
誰かにとって何かが事実ならば絶対の存在となる
すべての存在は絶対である
 
親離れするまでの子と親は
一心同体であって絶対であるが
親が子に対して絶対の存在となると
分離した所有物となり
絶対である子の存在を否定してしまう
 
もしも中指が怪我をすれば
他の指が補い全体性を発揮するだろう
人々が集う家族や社会も同じである
実在する個々は
親という抽象的な非存在の思いを通して成り立つ社会で
それぞれが無意識に補い合う全体性を発揮するのである
支配とか搾取という依存心は理不尽な分離感に溺れて
お互いの関係をも非存在としてしまう自爆行為なのだ

出合い 190922

出合い 190922
 
生まれ出る囲われた世界
この世の現象は
運命と言われる偶然なのか?
自己選択なのか?
集合的な選択なのか?
 
それにしても
理不尽な出合いが余りにも多い中
ほぼゼロに等しい確率の出合いで
魔法のように
相思相愛の仕事や仲間や親や環境や
連れ合いや子どもに恵まれることもある
 
反面教師による学と気付きが
この摩擦界での真っ当な人生だろうに
棚ぼたの幸福な暮らしもある
やらなければと思うことが途切れず湧き出す
我が人生をおろそかにはできない
体力と知力が追い付かないのが
悔しいけれど
この辺を教師と気付くべきなのかもしれない

誰が星の王子さまを殺したのか 安冨歩 明石書店

誰が星の王子さまを殺したのか 安冨歩 明石書店
モラルハラスメントの罠

モラハラとは
倫理観や道徳に反する嫌がらせでありイジメである
倫理観も道徳も社会的な価値観として誕生と同時に
植え付けられ勝ちな怖い洗脳である
生まれながらに持つ自分成の倫理観を
育てられる環境を作るにはお互いを侵さずに
可能な限りの全体を俯瞰する意識を持たなければならない

星の王子さま
十代の頃表紙の可愛い絵に誘われて読み出したものの
途中でどうにも耐えかね放り出した本なのだけれど
こんな本に出合うことで再認識する機会を得た

ありがたいことに
これは強い忍耐力と冷静な分析力による得難い本である
出合えたことに感謝するしかない

作者のテグジュペリ自身も
無意識が手伝っての物語なのだろう
だからこそ誰もがこの奥深い内容を
常識的な愛だの情だのに振り回されて
客観的に深読みできず脇道に迷い込んで来たのだろう

今度こそ
子供向けに書かれた恐ろしい大人の歪んだ物欲の世界を
客観的に最後まで読み通せるかもしれない
そうすれば誰もが陥っている
モラルハラスメントの所有と言う洗脳から目覚めて
お互いに自由自在で対等な調和を目指す関係を
見つけ出せそうな気がして
諦めかけていた希望すら湧いてくる気がする

霧のむこうに住みたい 須賀敦子 河出書房新社

霧のむこうに住みたい 

須賀敦子 河出書房新社

さり気なく行き届いたおしゃれなのだろう
表紙にはシミの付いた壁とタイルの床に置かれた
古びた木のダイニングテーブルがあり
カバーは霧に包まれた絵に入れ替えてある
どれも装丁者によって選ばれた借り物の写真なのだろう

著作権とか特許とか権利社会は兎角面倒だ
厳密に言えば生きながら環境という過去の利権で
埋められているようで
お互いに三すくみに陥って動きが取れない愚かな社会だ

読み出してみるとどこかで読んだ覚えのある文ばかりで
おかしいと思ったら
過去の文章からよりすぐったものらしい
自分で編集したのだろうか?

コルシア書店の仲間たち 須賀敦子 文藝春秋

コルシア書店の仲間たち 須賀敦子 文藝春秋

昔読んだ事があるのに
なぜまた手にしたのかわからない
エッセイという知識を転がす
乙に済ました遊びが好きでないのに

重たい本に気が滅入っている間の気晴らしだったのか
いずれにしても外を描くことで間接的に自分を押し出す
こうした表現には貴族趣味を覚える

キリンの子 歌集 鳥居 角川

キリンの子 歌集 鳥居 角川

 

母と二人で暮らす厳しい環境の中で

小学校5年の時家に変える母親が服毒自殺をしていた

そこからは施設の孤独な人生で過酷なイジメにあい

ホームレスも経験し八百屋で働く中で

新聞が友達となり短歌と出合う

 

あおぞらが、妙に、乾いて、紫陽花が、路に、あざやか なんで死んだの

と詠んだ

お月さますこし食べたいという母と三日月の夜の坂みちのぼる

鳩たちへ配って遊ぶ出掛けぎわ母が持たせてくれたクッキー

ほんとうに楽しみだった誕生日 砂糖のように家はくずれた

壊されてから知る 私を抱く母をしずかに家が抱いていたこと

オレンジの皮に塗られた農薬のような言葉をひとつ飲みこむ

墓参に供えるものがないからとあなたが好きな黄色を着ていく

空しかない校舎の屋上ただよいて私の生きる意味わからず

エレベーターに20分ほど乗っていた居場所がなくてスーツにまみれ

透明なシートは母の顔覆い涙の粒をぼとぼと弾く

 

読み返しているうちに胃液が込み上げてきそうになってたじろぐ