フィフティシェイズオブグレイ上 ジェイムズ 早川

フィフティシェイズオブグレイ上 ジェイムズ 早川
 
読みだしてすぐに
現代的で弾みの付いた文章を感じると同時に
主人公の一人であるグレイの
若さ故だろうかそれとも作者の無知故だろうか
身の程知らずで傲慢な自信と不安に稚拙さを感じたけれども
読み進むにつけてタダの恋愛小説や娯楽的で破壊的なエロ本ではなく
生命が根源に持つ永遠の謎であるパラドキシカルな矛盾に
取り組んでいるモノだという印象を持つに至る

スティーグラーソンが書いた「ドラゴン・タトゥーの女」シリーズも
同じような題材に着目していいたと思うけれども
推理小説ということの違いか広がりの限界があったように思う

小説というフィクションで
大自然における真理や事の本質に挑戦することの難しさを思うと
描くにしても読むにしても文学というジャンルの複雑な怖さを感じる
それは苦痛と娯楽に分離された虚しさと
同調する喜びと遊びが持つ矛盾であり
生きるという目的とそれを支える肉体である手段を
見極めていないと選択を間違えて暗い迷路に落ち込む事になる
しかしその迷路も過程の一部と理解できれば
墜落天使となることとの違いを見いだせるのだろう