山窩物語1 三角寛 現代書館
三角寛サンカ選集として
1巻から7巻までにまとまられたもの
2巻から5巻までは小説仕立てである
1巻と6〜7巻は研究の一端を表している
本名は三浦守
日大法科卒後
大正15年に朝日新聞社会部の記者となり
説教強盗事件で山窩と出合い
それ以来山窩の研究や報道から
山窩を主人公にした小説やドキュメントに没頭する
三角の情報以外には
国籍もなく放浪の民である山窩についての情報はほとんど無く
今となっては貴重な資料ではあるが
彼の上から目線による理不尽で詐欺的な情報あつめによって
命を落としたり暮らし向きを荒らされ
辛い思いをした山窩の人々が沢山いたことも確かである
と言うか
彼自身が得意げに臆面もなく書いているドキュメントに
あられもなくその内容が晒されているのである
しかしここにある実直で確かな生き方を実践する山窩の暮らし振りは
縄文人の暮らし振りを想像し
窺い知ることもできるのではないだろうか
彼らの生き様は
日本人が心の奥底に持つ懐の深さや強さや優しさを
再認識して襟を正すチャンスをくれるかもしれない