嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え
岸見一郎 古賀史健 ダイヤモンド社
青年と哲人の対話によって
アドラーは「今に視点を置く目的論」を説き
原因論は過去の利権である手段を目的にスリカエた論なのだろう
この本の著者である岸見さんと古賀さんがあとがきで説明している
この本ではソクラテスが道端で
青年たちと議論を繰り広げていた哲学を取り込んだ対話形式で
実例を上げながらアドラー流哲学の実践を解き明かしていく
そこにはアドラー流の造語が沢山あってその一つ一つを紐解くことで
歴史に呑み込まれて来た思い込みであるトラウマの呪縛から這い出して
責任転嫁することなく嘘と秘密で搾取や支配をするための相手への依存もなく
自分の自分による自分に対する責任と義務で人間関係を対等に捉え直し
過去や未来への権利と競争に気を散らすこともなく
今現在の自分と相手との出合いに集中して選択することで
幸福感に満ちた人生をすべての人が切り開くことができると説く
大事なのは
対等で自在な相互の信頼によって調和を目指す人間関係であり
自分の本心を大事にすることで相手に負担をかけることもなくなり
お互いに率直な関係をつくることで過不足のない適度な摩擦の中で
切磋琢磨を可能にして相乗効果を生み出すことができる
一点に絞り込んだ山の頂を目指すのではなく
無限の旅の過程を丁寧に歩くことでその場その場で視野を広げ
納得しながら過去や未来を引きずらずに生きていく
それが自然界に即すマトモな人生である
岸見さんの言うこの流れと私と造語の形は少し違うけれども
意味は共通していおり
ブッダが説く空や縁起にも繋がる実践のための考え方だと思う