司法に経済犯罪は裁けるか 細野祐二 講談社

司法に経済犯罪は裁けるか 細野祐二 講談社

 

著者は公認会計士であるが

公認会計士VS特捜検察」のベストサラーの他

多くの著書もある

法的に落ちのないためにクドイ部分があるのは仕方ないとして

一般には隠されている権力の理不尽で
あってはならない筈の心無い内容に引き込まれてしまう

 

裏表を使い分ける権力同士は談合して癒着するのが道理
権威と利権の拡大に執着して心をなくしている組織人間が

捏造したストーリーの展開通りに精神的拷問によって追い詰めた自白と

証拠固めの飴と鞭の誘導による調書で司法を抱き込み

巌窟王のような死刑を含む明らかな冤罪を作り上げてしまう過程を
具体的に客観視して書き上げた文章が力強い

 

勿論村上ファンドライブドアーなどの経済犯罪ばかりではなく

刑事事件についての冤罪も世間に多くあり袴田事件を詳細に取り上げている

又何故検察と司法の癒着が起こったのかについても調べ上げた報告がある

 

司法試験に合格できる頭が良い筈の検察官や裁判官も

象牙の塔のみで世間知らずであるが故に事実や人を見る目もなく

意識に育つ間もないママに奉仕の仕事である公務を権力と捉えて

三権談合による不法な実態を鵜呑みにしているということである

法と言う道具を利己的に運用する建前と本音の権力構造を当然としているのが

現状のようである

 

警察を含めて検事側の費用も時間も全て税金で賄われる一方で

無実であろうがなかろうが検察の都合で被告にされたが最後
自前の時間と財力と交友関係を犠牲にして全てを賄わなければならないと言う
理不尽で不平等な関係の中で
暴力的に押し付けられた鉄格子の中で権力と対抗しなければならないのだ
これが自由と平等を謳う国家のあるべき姿だろうか
とんでもない話である