縄文人と弥生人 片山一道 昭和堂
この本は考古学の発掘による古人骨から歴史を紐解き
縄文人が南太平洋からアメリカ大陸へ渡った形跡も追いかける
弥生期における渡来人による侵略の証拠も定かでなく
交流によるものか
金属器と農耕による物資文明と思想の輸入という可能性もあるだろうと著者は見る
1万4千年前急速な温暖化が起こり
日本列島が大陸から日本海で遮られて出現した
暖流に挟まれて四季を持つ多様な条件の揃った陸地ができた
北方系と南方系の動植物に海産資源に恵まれた
有史以前の旧石器時代から1万年以上に渡って10万人前後の縄文人が
狩猟採集経済によって大きな変化もなく平和にこの列島で繁栄することになる
対岸の大陸では農耕経済による所有制度による利権社会で
差別と対立の縄張り関係が生まれた文明社会が現れていた
紀元前2~3千年前には大陸からの物質的な合理性と金属や稲を伴った
契約経済思想と文明が渡来してきた
競争意識が起こり人口を増やし縄張りの拡張が目的として入れ替わった
この時どれ程の渡来人がいたのか定かでないが
分業しながらも弥生文明へと飲み込まれて行った
その後の古墳文化に至る弥生後期には相当数の渡来人があった証拠もあるし
縄文期の人骨は貝塚に葬られていた関係で多くの資料があるが
弥生時代の人骨資料は酸性の土壌に葬られたために現存するモノが殆どなく証拠を持たない
その上数少ない資料も縄文人に当てはまるものが多く渡来人を確認できない