月の森に、カミよ眠れ 上橋菜穂子 偕成社

月の森に、カミよ眠れ 上橋菜穂子 偕成社

 

古代文化においてこの極東にある島国に

大陸から多くの帰化人が押し寄せ
彼らが持ち込んだ全体観を見失う物質至上主義の台頭に翻弄され
大自然との絆でつながる長い縄文人の自律文化に
依存という武力を背景とする搾取と支配の天皇制による政治がはびこり
利己的部分観にとらわれていく新たな不安と恐怖
その過渡期の変動に巻き込まれてあえぐ人々をモティーフにした物語

文化人類学者として沖縄からアボリジニへと関わり
その後創作活動へと進展した上橋さんの二作目です

お互いの個を尊重することでつながる
対等観による信頼関係の現場を踏まえた
中身の濃い意識と心を今に伝えてくれる客観性の中に
主観的な思いを織り込んだ壮大なストーリです