精霊の木 上橋菜穂子 偕成社
上橋さんは精霊の守り人で脚光を浴びましたが
院生で沖縄のフィーウドワークをしていた当時に
この処女作を書き上げたのだそうです
当時は売れなかったようですが
今になってファンの要望に押される形で
15年前のものをリメークすることになったのがこの本だといいます
確かに学者としての思想が滲み出していますし
強い者勝の商業主義の中で全体観や信頼関係がそこなわれ
組織的強欲のウソと秘密によって見事に政府を乗っ取られ
社会の舞台裏で押し潰されていく純真な人々の存在を明らかにするために
社会に一石を投じたいということが目的の大きなファクターだったのでしょう
それだけに劇的にプロ化されたエンターテイメントとしてではない
深みのある生活感の中での表現になっているのだと思います
宇宙空間に舞台を移しただけで
正に歪んだグローバリズムや新世界秩序という今の時代を
生き写しにしたようなおぞましい内容です
最も私は一人ひとりの人間が次元の違う意識状態に成長しない限り
宇宙空間に飛び出せないと考えていますので
今のような依存意識の状態のままで
宇宙を手玉に取ることはできないと思っています