インテレクチュアルズ 知識人達 ポール・ジョンソン 共同通信社

インテレクチュアルズ 知識人達 ポール・ジョンソン 共同通信社

最初に読み終わった感想で言えば
この本を託されたお孫さんに同情する
重たい負の遺産となることだろう
私ならば即刻返上したいところだ

ところで読みだした当初は知識本として面白かった
登場人物があまりにも有名な歴史的人物であるが故に
血生臭さもなく一般論として読むことができた
しかし中盤を過ぎて少しなりとも現代社会と癒着がある人になってくると
三流週刊誌のプロパガンダとも言えそうなゴシップを読んでいるようで
少し恥ずかしい気がしてくる
更に話題がまだ存命の時代の人々になってくると
差別感がヌグエず著者の社会的背景がチラつき
まさに敵を侮辱するために初めに権力構造ありきで書かれた
本なのだと思えてくる
資本主義が民主主義故の申し子でもあるかのような時代錯誤の主張と
支配組織を擁護する立場からのこき下ろしにすぎないものに見えて来るのである

よほど組織的でないチョムスキーたちの存在が目障りで気に食わないと見える
多分に御用評論家としての地位を築いてきた人なのだろうと推測してしまう
この本の最後に著者自身を登場させていない事が不思議なくらい
この方は知識本意の意識の乏しい方で
誰よりもここで言うインテレクチュアルの範疇にあるべき人だと思えてくる

モンロー主義を一変して侵略者となったご都合主義のアメリカ政治が
あたかもスーパーマンで世界の警察を自認し救いの神であるかのような
洗脳感イッパイの書きっぷりも笑えてしまう
こんな本がわざわざ選ばれて翻訳されること自体
知識支配真っ只中の格差差別社会から卒業できていない実態を悲しく思う