ウイルスと他者の世紀 日向あき子 中央法規

ウイルスと他者の世紀 日向あき子 中央法規
 
思いがけない拾い物をした
この本は図書館の廃棄の山から
気まぐれに手にとってきた本だ
ちなみにこの本を借りた人はいなかったらしい
シオリのヒモが織り込まれた状態のままだった
 
多分このタイトルが鈍直な私達の目を
惹きつけなかったのだろう
しかし読み始めるとたちまち
キラキラとした鋭い意味が心に突き刺さってきた
 
日向あき子さんがこの世の嘘に気づいて
生きる意味を失っていた子供の時に
自殺せずに生き延びてくれたことに感謝する
私も幼稚で奥手で見えもしないはるか遠くを見ながら
反面シラケた子供時代を送ってきたことを思うと
不思議で複雑な気持ちだ
ある意味いまだに今の自分が
間延びした青春を開き直って
引きずっているようにさえ思える
 
集合意識とでも言うのか
出合いには自分の直接選択以外に
赤い糸と言うかアミダクジのようにたぐり寄せ合う
無限的な何かがこの世にもあることを
あらためて感じさせてくれた本の一つであった