4月は少しつめたくて  谷川直子 河出書房新社

4月は少しつめたくて  谷川直子 河出書房新社
 
エッセイのように軽く読めて
詩のように心に届く
妙に清々しい小説だ
 
テーマの一つに《謝罪は権力を生む》というフレーズがある
その中で
死に別れという痛みに負けた老いぼれ元大詩人と
なんとか再起させようとムキになる傷ついた編集者の出合い
 
底無しの距離をとりながらの絡み合いで
傷を舐め合うことから脱皮していくという物語と
娘がイジメられて自殺未遂したと訴えられた無実の親子と
同じ元大詩人が絡んでそれぞれが再起していくという
物語が交差するストーリー
 
妙にシツコカッたり頑張ったりと無理な箇所も感じるけれども
こんなことも多様な自然界になくはないのだろう