人工知能を超える人間の強みとは 奈良潤 技術評論社
AI万能が世界を圧感している時代に
少数派の意見を取り上げている稀有な本であり
貴重な本でもある
未知への不安が消極性をもたらせば
力を持ち注ぎたAIが暴走したり反逆する可能性に怯える
そこにはAIが心や意識という形而上の力を獲得し
自己増殖しだすということへの恐れがある
そして意識も脳による物質的な力を根拠としているという
唯物論的固定観念がある
一方で生命という存在が物質界と相対を成す
集合意識の環境があるだろうことを前提とすれば
AIがけして個意識を膨らませて所有欲を持つことなど
無いということに至るはずだから
愛とか情念に行動を左右されることもないだろう
この本では学者たちによるこうした問題を歴史から紐解き
今に至り未来を模索する賛否両論をカーネマンとクラインを中心に公開し
著者の思いを最後に披露している
直感は学習や訓練を必要とせずに閃くものだとするなど
どちらかと言うと自然発生的であるのに対して
直観は自分の経験に基づいて判断と意思決定をするための方法であり
認知パターンに当てはまることで状況の成り行きを判断し
とるべき行動プランを決断する能力のことだと
現場主義意思決定理論を構築し「洞察力があらゆる問題を解決する」の
著者ゲイリークラインは定義していると言う
又
認知科学者でありながら経済学でノーベル賞を取ったハーバート・サイモンは
状況が手がかりを与え
専門家は記憶に蓄積された情報を呼び出す
その情報が答えを与えてくれ
直観を認識以上でもなければいかでもないと言う
人間は忘れるために記憶する
AIは忘れることなく記憶を積み重ねる
この忘却が抽象的思考と関係しているという
社会的義務と責任は人間がとる代わりの支配権を得るということなのか?
義務はAIにゆだねるが最終的には人間が管理する義務を担うのだろうか?
リーダーは方針を示して具体的な現場を個々の担当者に任せながらも
最終的な管理の義務を追うべきなのか?
行動経済学でノーベル賞ををとったカーネマンの「ファースト&スロー」は
ベストセラーになった