アメリカは日本の原子力政策をどうみているか 鈴木達治郎 岩波

アメリカは日本の原子力政策をどうみているか 鈴木達治郎 岩波

 

生命の目的を物質的な富とを相対的に増やすことだと

取り違えている現代社会は

本来手段でしかない経済効果を目的に据え

競争原理を追求している結果として飽くなき戦争ごっこを

市民に強いている本末転倒の状況である

 

それは巨大化する武器の開発と販売と破壊による経済効果へと発展し

原爆へとたどり着いたが

その人間の手に負えない放射能によるブーメラン性に怯えて

立ち往生しながらも暴力への依存を諦めきれずに

抑止力というごまかしでお互いに技術と拡大を競い合い

元に戻せない何千発もの旧式の原爆を抱え込んできた自己矛盾

 

他の国への拡散を恐れながらも利己的な精算を続けると同時に

原爆の原料を作る原発を平和利用という名で誤魔化しながら

利益追求の強欲に振り回されて

原発システムを世界中に売りさばいて来た自己矛盾

 

ウランの希少性を補うという名目で原爆に必要なプルトニュームを

作り出す再処理システムを拡散した自己矛盾

その結果インドで原爆が製造されたことで

再処理システムを禁止する動きが起こる身勝手な自己矛盾

 

アメリカの独立やフランス革命以来唱えてきた民主的な建前も

ヒットラー以後速やかに薄められ

アメリカを全面に出した力による世界制覇で

すべてを食い尽くすまで支配しようと多国籍企業を巻き込んだ

金融マフィアが今では我が物顔に舞台の中央に登場する有様である

 

核分裂は勿論のこと核融合についても基礎研究以外に

手を付けてはいけないということを学者も政治家も知った上での

自殺行為を利権欲しさに邁進しているという愚かなことである

彼らは未だに非暴力の信頼関係による民主主義を建前として

掲げているという事実が彼らの嘘を証明しているのである

にも関わらず損得と競争原理に依存する所有欲を捨てる勇気がなく

墓穴を掘る無理心中でしかない依存搾取支配という矛盾から抜けられず

意に反して自分のスネをかじり続けるために搾取に余念がないのである

 

必要なのは一歩引いて全体と部分の関係を確認するために

俯瞰する勇気と決断だけであると知っていながら

自己洗脳に逃げ込んで自らを麻痺させているのである

 

シリーズ

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