独裁体制から民主主義へ ジーン・シャープ ちくま学芸文庫
独裁体制から民主主義へ ジーン・シャープ ちくま学芸文庫
権力に対抗するための教科書
として世界中に普及されている聖書のような本だ
本文はwebサイトに公開されており
28言語以上に翻訳されている
現実に独裁体制に対して非暴力で立ち向かい
新たな秩序を生み出している国もたくさんある
根源的な問題で対決している場合は
交渉でなく抵抗こそが変化に至るために不可欠だ
ましてや専門とする武力組織に対して
生半可な武力で立ち向かって勝てる道理などない
仮に勝てたとしても
それは民衆を利用した内部抗争でしかなく
首の挿げ替えによる独裁の強化にほかならない
したがって民衆が民主主義を勝ち取ったと思える
直後こそが《勝って兜の緒を締める》大事な時期である
武力による独裁政治を終焉させるためには
和解ではなく最強で非望力の抵抗手段
を怠りなく最後まで続けて行く必要がある
平和とか自由とかの抽象的な目標でなく
調和とか自律とか具体的などんな姿形なのかを
理解し合っておく必要がある
反体制民主主義勢力は
巨大な軍部や警察や官僚制度を背景とする独裁政権の
ネットワークを倒すには
政治的な力を理解することが大事だ
それは餌で誘惑して脅しで怯えさて搾取する
目先の損得感と搾取の序列の權利を奪い合う
競争心で信頼関係を壊し分裂させて
堂々巡りに陥れておくことで実にシンプルである
独裁者は民衆による生産の支えなくして成り立たないということだ
搾取の序列維持のために必要な政治力の源は
権威:正当な政権であり従うことが
道徳的義務であるとする民衆による信奉
人的資源:技術と知識と武力の確保
無形の力:民衆を誘導する心理的観念的要素を確保
物的資源:自然資源・金属資源・生産システム・経済金融システム・
コミュニケーション手段交通手段・インフラ・などの管理権を確保
制裁:不従順・非協力者に対する処罰=
見せしめによる不安恐怖を植え付けることで従順な市民の確保
独裁政権の弱み
上記を確保するための要である嘘と秘密が暴かれることで
民衆が全体を見渡し一斉にシラケて権威が無視されてしまう状態
飽和状態によって利権の一致による結束が緩み
あるいは内部から気付きが起こり内部情報の公開至るなど
蟻の一穴から官僚同士が内ゲバによって内部崩壊して自滅へ暴走する
民主主義的防衛政策
ボーダーを限りなく薄めようとする自由自在にしたしなやかな組織には
甘い汁を吸おうとする物欲に溺れた視野の狭い依存者が
内外から虎視眈々と狙うかもしれない
それに対しても同じように非暴力の政治的抵抗の原則で
緊張感を保たなければならない
搾取による資源と武力で支配を企てるのではなく
人の心と全体である集合意識と繋がることで信頼関係を創り
互いに満たされた掛け替えのない調和の関係を浸透させることだ
それぞれに必要十分で過不足のないエネルギーと物資は
支配のための無駄な軍備や搾取のために付く嘘や秘密で騙し合う
尽きることにない無駄を省くだけで十分にまかなえる
《自由はタダではない》
自律による自己管理と同時に凸凹のお互いを繋いで視野を広げ自信を取り戻し
全体を見定めるために自主的に集い積極的に参加することを喜びとして
前を向き真理の発見のために冒険を愉しむことであり
支配の中での苦労を自主的な選択による愉しみ変えて
工夫し努力し協力し合う喜びをつくり続けることだ