あなたのなかの宇宙 ニールシュービン 早川

あなたのなかの宇宙 ニールシュービン 早川
 
バラバラだった西洋科学がつながりはじめた
相対性理論から素粒子の時代になって
ニューエイジと言われる総合的な視野による
学問の扉が開いた
それは東洋的で一成る特化した答から離れ
対立と無関心の心の垣根を外して
調和へ向かう共生的な解放の時代を模索し始めた
 
古生物学者であるこの著者もそんな一人のようだ
「人の中の宇宙・宇宙の中の人」という無限観とか
宇宙観という視野の広い俯瞰した世界を紹介している
美学に哲学から倫理学に宗教も含めた選択肢の中で
物理も化学も生物学も全てを網羅した全体と
それを支えているあらゆる部分が入れ子になった
夢幻的な関係から人間とはどこから来て
何をしようとしているのかを理論的に紐解こうとしている
 
ここで物質という摩擦界における形ある部分的存在と
形のない意識という全体的存在が相対する相互作用を
イメージしながら感情に溺れず客観的に理解と思いを
深めていかなければならない
 
科学者とは思えない文章の上手さも在って
特に出だしからの前半が面白い
 
それでも人間社会で長く続いてきた農耕による余剰生産物によって
始まった依存社会の行き止まりとなるだろう資本金融主義で
洗脳された弱肉強食論や権利意識や競争原理が染み込んでいる
なごりから抜け出せない部分が多々あるようで
ダーウィニズムなどそのパニクった抵抗勢力は計り知れない