間抜けの構造 ビートたけし 新潮社

間抜けの構造 ビートたけし 新潮社

 

目は口ほどにものを言い

余白の美

無言の教え

沈黙の会話

日本の文化は「間」で表現する

 

世界の常識ではタイミングと言うが

それとは真逆にあるこの間という

当たり前のことだったはずのことを

漫才・映画・人生を通して

たけし流にまとめたのがこの本である

 

まるで知らなかった
たけしの生い立ちを知る機会にもなった

鳥獣害 祖田修 岩波新書

鳥獣害 祖田修 岩波新書

 

日本中の里山にイノシシやシカやカモシカ

クマやキツネやタヌキやサルに

外来種ヌートリアやアライグマやヘビやカメや

クモやトカゲ

更にはインコやブンチョウやオオムなどが徘徊しだし

街にまで出没して人に混じって信号を渡るようにまでなった

 

無責任に餌付けして可愛いで済む間は問題ないけれど

味をした野生の動物達が

田畑を荒らし家畜を襲い家に入り込み

人をも襲い持ち物を奪うようになるころには

知恵がついて豊富な餌によって手がつけられない数に成長してしまう

 

人間世界も物が溢れて退屈になり利己的な気持ちで

エセリベラリストや自称有識者というインテリ-達が

狭い視野で動物愛護運動などに夢中になって

甚大な被害にやむを得ず農家や林業家が野獣を

追い立てたり殺したり食べたりするとヒステリックに騒ぎ回る

その上義務も責任も考えずに権利の主張ばかりで

旅の恥はかき捨てといった感じに餌をやったりして弄ぶ

 

西洋では大自然が人間のためにあるという選民意識にあり

東洋では全てが対等な関係だとする共生観にあり

依存心による支配欲の強い者が相手の固有の文化などお構いなしに

侵略して来たのが有史以来の今に至る歴史である

デカルトは動物が意識を持たまい機会であると主張し

フェリはキリスト教の教えは

人間が全ての権利を持つという人間中心主義だと発言している

ダーウインも《人間の由来》や《種の起源》で進化論や突然変異に至り

迷いながらも競争と自然淘汰を柱にした論理でまとめている

それに対してピタゴラスは輪廻転生の思想と

数の原理が存在の構成原理であるという二極の自然観を持っていたという

今西錦司は棲み分け共存の自然観を主張していた

これに対して祖田修は現実の知識と技術において人間だけが特出しておる以上

自然界の鉱物に植物に動物の全てを支配して依存搾取するか

リーダーとしてお互いの対等性を維持する役目を買って出るかの

どちらかにならざるをえないとする

そして人間の生活と精算の空間と野生動物の侵入排除空間と侵入許容空間と

野生動物の生活空間及び林業空間の四つからなる環境を推奨しているが

少し誤魔化しているように感じる

やはり円の全体観の中で力あるものが謙虚になって

対等に棲み分けと食物連鎖による環境を用意して共生すべきなのだと思う

人間社会が充実していれば動植物が侵略してくることなどないはずである

 

一時にまとまって押し寄せて棲み分ける間もなく傲慢に侵略するのと

謙虚な旅の者と文化交流するのとでは問題がまるで違う

競争と切磋琢磨と同じように真逆の内容である

 

この本の後半は全体観に添う調和を目指す大自然の摂理

浅知恵がつき過ぎて神に成り代わってこの世を支配する気になり

視野を狭くして自滅に向かう部分感に溺れた人間の振る舞いの落差の現状に

人間自らがどう気付き抜け出せば良いのかを模索する内容である

とても深い気付きを持った意見である

 

間の文化 170212

間の文化 170212
 
人生が完璧に満たされていないからこそ
その不安恐怖を埋めるために理を求める
 
そこに間があることで
体験で得る知識の反芻がうまれ
意識を目指して出会った同士による切磋琢磨が起る
 
この間をゆとりにできないと真理へ向かう美を見失い
今の未知なる冒険を選択できず
不安恐怖とした自分の影から逃れるために
慌てふためいて過去に執着する競争原理に陥ることになる
 

三権談合か分立か 170210

三権談合か分立か 170210
 
三権分立を目指すならば
市民が主権を発揮して管理しなければならない
依存心にかまけて行き届かなくなれば
そのすきを突いて公務を乗っ取り
依存心丸出しで搾取支配と視野を狭くして
三権談合を企む輩は出てくるだろう
 
もしも分立を維持しようと思うならば
官僚あがりの議員や司法官を認めてはいけないし
三権を橋渡しする存在を作り出すべきではない
 
更に三権という言葉自体も廃止して
三職分立とか公務の横分けと共同作業などを盛り込み
権利の面影を消し去らなければならない
自発的な公僕として対等な名前を命名する必要があるし
公僕という公の仕事はケースバイケースに対処しながらも
馴れ合いや汚職など過去を引きずらないように
期限を切って交代しながら
透明度を上げて置かなければならない
 

マーケティング化する民主主義 西田亮介 イースト新書

マーケティング化する民主主義 西田亮介 イースト新書
 
面白く読めました
心をなくした民主主義は〜
どこに捨てれば良いのでしょうか?
 
前半の記事はメディアに気遣って
あらぬことを書いていることなどを除けば
かなりオモシロイ情報を得られたと思うけれど
 
後半の津田大介の司会による平将明と西田亮介の対談や
小林史明と西田亮介の対談に成ると
相手を意識したナアナアな内容になって
残念な結果だったと思う
それに引き換え最後の三宅洋平との対談は
お互いに背伸びした突っ込みがあって面白く読めました
 
いずれにしても腰砕けを逆手に取って深読みすれば
現状の一旦を読み解く鍵を
見つけることができる切り込んだ内容だとも言えそうだ
 

そもそも島に進化あり 川上和人 技術評論社

そもそも島に進化あり 川上和人 技術評論社

 
海は多様な命の母なのか
それとも阻むものなのか
 
まれに見る面白い本である
《はじめに》からふざけた引用的表現が多く
多読家である著者の
好奇心の旺盛さが滲み出しているが
それでも前半はプロローグなのだろう
後半になるほど面白さが際立つ
濃い内容を素通りしてしまいそうなほどに
読み安いのが欠点かもしれない
 
鳥が専門の学者でありながら
植物にはじまりあらゆる専門外に話が飛び交い
盲目的な今の御時世に逆らって
全体観を養うにもモッテコイの物語である
地球物理の始まりから宇宙を見晴らす未来に
目を開いてくれる
 
もっとも《序》の初っ端から「星の王子さま」の登場で
思わず本を閉じそうになってしまったが
我慢して読み進んだおかげで
この世の理について多くを考え直してみるヒントを得ることができた
つまりこの世は理不尽な競争原理で成り立っているのか
それとも意識に注目した全体観と部分感の相対関係が
調和による棲み分けと食物連鎖で補い合いながら
五分五分の冒険をたのしませてくれているのか
という問題についてである