植物日記 市川廣利 文芸社

植物日記 市川廣利 文芸社
 
恵那に生まれすむ教師が定年後に出合う
シデコブシから始まる保護運動の記録
自主出版だからこその一途な溺愛を忍ばせる
 
シデコブシが花を咲かせて種を落とすまでの
一年をアップの写真で見るのも愉しいし
タムシバとの違いについても具体的である
シデコブシはハナノキと共に湿地を好む植生であり
タムシバは乾いた山の中腹から上に生えるようだ
 
植物や鳥などの愛好会は意識の違いのよって
乱立した縄張り根性で横のつながりが薄い
そんな中で市川さんは定年後の情熱を注ぎ込んで
学者に愛好家あるいは全体観と愛惜の双方から臨み
連絡を取り訪ね歩き情報を集め
ゴルフ場や工業団地の乱開発に立ち向かい
絶滅危惧種であるシデコブシを中心に
自生地の保存保護に奔走してきたということだ