北欧 木の家具と建築の知恵 長谷川清之

北欧 木の家具と建築の知恵 長谷川清
 
貧しさが生み出した知恵
素朴さの中に盛り込まれた工夫
 
北欧独特の寒さの厳しさによる
自然を共有する堅実さが創り出す用の美意識
 
工業化社会の物的な合理化に
埋没する現代社会において
質実剛健な手のぬくもりが
改めて見直される時代の中で
静かに光を放つ北欧の生活感覚
そんな中でもフィンランド
他の北欧文化とは別の流れを持つようだ

マノン・レスコー プッチーニ イタリアオペラ

マノン・レスコー プッチーニ イタリアオペラ
 
17才の見目麗しい憂いを持った娘が
親と兄に翻弄されていく
弱くも依存心の強い人間の物語である
 
魔性の女マノンが求める安息の地とは
静も動も
場も時も
無も有も
愛も情も
正義も憎悪も
あれもこれも
すべてが欲しいという物欲らしい
 
何かにすがっていないと
不安に襲われる
自分が誰だかわからず
全てを演じていたい
意に反して不幸を招いてしまう
気付いてすらいない強欲
これも誰もが体験する
人生の一場面である
 

◎道具としての奴隷 180219

◎道具としての奴隷 180219
 
手にしたモノを大切に扱うか
粗末に使い捨てるかは使い手次第だけれども
その使い手そのものの信頼を得られるかどうかの
分かれ目でもある
 
奴隷という道具を確保してこその
ギリシャ的民主制度が成り立ち
哲学や数学を始めとする学問が栄えたし
農奴があってこそ庶民的な江戸文化が栄もした
その際奴隷を冷遇すれば市の文化は衰退し
大事にすれば大いに栄えることになる
 
車の原理を発見し蒸気機関を得
機械が労働の一部を受け持つことで
更なる生産性が上がり文化を置き去りに
その分文明が発展してきた
そして人工知能AIが実用化されることで
多くの民が一次産業も二次産業も解放されて
文化を取り戻し学問や芸事や趣味の仕事に
打ち込むことができる様になるし
競争原理を卒業して切磋琢磨による飛躍を可能にし
社会を民主的に多様な形で発展させて支えることができる
 
この世は保守という反面教師によって進歩し
全体観を高めてより高度な民主制を追い求めてきた歴史である
 
 

本物の多様性 180219
 
唯一の答えは搾取のための依存心をクスグル
扇動的なプロパガンダでしかない
本物は常に今を踏切台として飛び火する
発展的なプロセスの状態にある
 
保守性とは後ろ向きの利己的な過去を保つために
より大きな可能性を捨てることであり
本物の革新とは常に前を向いて
全体的な今の可能性を追求している状態である
 
可能性とはより大きな全体を目指す冒険であるから
公共的な幸福を創造していることであり
未来を閉ざして安全地帯にとどまり
一つのパイに群がって食いつぶすことではない
 
今手に持ったモノを手放さなければ
次のモノを手にすることができないし
検証したり手を加えたり発展させていくために
循環させて鮮度を保ち距離を置いて
俯瞰する必要がある

◎慈悲と驕り 180219

◎慈悲と驕り 180219
 
全体観を持った無限感による慈悲と
視野の狭い部分感による慈善
 
平家の慈悲が単に驕りであったから
復讐心による源平合戦がもたらされた
徹底した慈悲を維持できるならば
調和の関係を継続できるだろうが
 
至らぬ人間が故にその公共的な幸福を
手にした途端に欲をかいて
取り逃してしまう
どうすれば公的視野を持ち続けられるかと言えば
その場の個と集い
部分と全体を見極める客観的な意識によって
調和のゲームを愉しめていれば良いのだ
 
ゴミ溜めの中の宮殿が如何に臭いかと
気付けていれば
家事という美しい公共的な仕事に喜びを持って
我先に参加できるというものだ

ホフマン物語 オッフェンバック オペラ

 
150分
詩人ホフマンが酒に溺れて
愛の辛い遍歴を語る中で
つきまとう友人の存在が今一つわからないが
最後の失恋でホフマンが崩れる中
ミューズとなって詩作の道へと導くところで終わる
 
最初の哲学者と人形作家による
人形との恋が笑いもありペーソスもありで見どころ

後宮からの逃走 モーツアルト オペラ

後宮からの逃走 モーツアルト オペラ

 
オペラには何がしかの哲学が盛り込まれている
オペラだけでなくコメディーにも童話にも
言えることだ
これもギリシャ文化の影響だろうか
 
この物語も
スペインの貴族がトルコの捕虜になり
宿敵だと判明し処刑を覚悟するが
解放することで敵の打ち合いを
終わりにできればとトルコの王が言い渡す
ハッピーエンドで終わるのだけれど
西洋文化は多様な答えを嫌うようで
キレイに割り切れる唯一の答えを好むらしい
 
平家の中途半端な似非慈悲が
鎌倉幕府へと繋る
無限愛の慈悲と利己愛の慈善の違いを
理解しなければ対立の溝は深まるばかりだ
 
それにしても演者の層が厚く
楽しませてくれる