真空管 甘糟りり子 文藝春秋

 

石原慎太郎太陽の季節

村上春樹坂本龍一田中康夫池田満寿夫などなど
ブランドや横文字の多い
ファッショナブルでエグゼクティブな社会の
飽き飽きしながらも抜けるに抜けられない上澄みを描き
読者やファンは成り上がり階級の片鱗をキラキラ味わう

 

このどこにいても満たされることのない
乾いた上澄みこそが競争原理による格差社会
現実なのだろう

 

それにしてもキラキラしたルアーと疑似餌の中を
ハラハラと泳ぎ回り続けなければならないなんて
バカバカしくて付き合いきれない
と言って流れから降りてしまえば
村八分にあって干されてしまう不安恐怖

利権による依存と搾取の圧力に翻弄される
ピエロかペットか奴隷か家畜か
上を見ても下を見ても延々と搾取の関係が続く
そんな中をカンダタは仲間を蹴落としながら
細い蜘蛛の糸にすがって生き延びようと利己的にもがく

それでもこうした中身のない作品がマスコミによって
もてはやされて作家はのぼせ上がり庶民を貪る

 

こんな自ら湧き出す喜びもなくお互いの利己による外圧で
怠惰になり鞭打たれる下克上の物語は

源氏物語に始まり未だに学ぶこともなく続いている

おお方の文化とは浅はかなものである