雨にもまけず粗茶一服  松村栄子 ピュアフル

雨にもまけず粗茶一服  松村栄子 ピュアフル
 
エッセイのように怖くもなく傷付くこともなく
軽く読める青春小説
家元制度というあらゆる歪みを内包する歴史的重さを抱え
閉じ込められた世界を舞台に産まれついた運命を背負い
戸惑う若者たちを描き出す
 
家出して勘当されて畳職人という環境に飛び込んで
結局比叡山の門を叩く主人公が
どんな人生を見つけることになるのだろうか
 
誰しも大なり小なり味わってきた道だと思うが
やり直すことのできない人生を振り返れば
あそこで別の道を選んでいればと
取らぬ狸の皮算用を夢に見ながら
こんなものかと諦めたり恨みがましく思ったりしながらも
自分の人生を微笑ましくも苦味を持って
これしか無かった人生として納得する事になるのだろう