騎士団長殺し 村上春樹 新潮社

騎士団長殺し 村上春樹 新潮社

 

読み出してじきに「なんとなく、クリスタル」が頭に浮かんできた

車にファッションなどの時代感覚や音楽への表面的な知識量を織り込む
おしゃべりな技巧的なところが似ているのかもしれない

兎も角時代背景をうまく取り入れ読者を惹き付ける博学な社会的価値観を
心得た小説に違いない


出だしは退屈なくらいにスロペースだったけれど
騎士団長の発見あたりから一気に読み飛ばすことになった

サスペンスとは異なるイデアだのメタファーだのを姿形として登場させ
人間を深く読み解いていくテクニックは素晴らしいけれど
芸術と言う単語が出てくるたびに色あせた薄っぺらなモノを
感じてしまうのも私にとっての事実である

結局小説というのはおおむね知性のある娯楽なのだろう

こんなによくわかる長唄3 江戸の吟遊詩人たち 中村篤彦 邦楽ジャーナル

こんなによくわかる長唄

江戸の吟遊詩人たち 中村篤彦 邦楽ジャーナル

 

極東列島の始まりである古事記にまつわる古代中国の話から

平安鎌倉江戸と現代に至る文化文芸芸能政治と幅の広い長唄
バックグラウンドとなる含蓄ある解説が面白い
特に衣食住に対するオシャレの意識に付いては
粋と言う銭金に媚びない合理性と真逆の

自律を目指す美意識が特徴的であることを教えてくれる

 

言葉の解説から当時の世界観や価値観が現在とまるで違うことにも
目からウロコの発見がある

 

ゲンロン0 観光客の哲学 東浩紀 genron

読み始めは屁理屈かと思いきや
終わりに近づくほど面白くなる

始めの内は進まず何度かバカバカしくなりながらの
二章の終わり頃までの感想は
混沌の中のリアリティーと言うプロセスを明確に見せてくれる内容であった
哲学が根源性を追求するものだとすればこの物語は
才走って道草を食っている状態にあるように見える
それは過去に根ざす縄張りの穏便な安全地帯から
覗き趣味の気晴らしをしている観光で
平和を良しとして求める第三者のナンセンスを
教えてくれる反面教師のようである
観光は時の流れの中で今を捉えながら
出合いの選択をし続ける冒険の旅と比べると程遠い
覗き趣味は選択の自由自在性を奪う代わりに
支配者が奴隷にあてがう娯楽でしかない
などと思いながら読み進む内に段々と面白くなって引き込まれることになる
多彩な知識が盛り込まれているだけでなく
咀嚼された深読みによる解き明かしにうなずけもするし共感もできる

 

税金に見る資本主義と相対する精神性 171226

税金に見る資本主義と相対する精神性 
171226
 
直進性の資本と循環性の精神の
二つが揃って相乗効果が発揮される
時空間とも呼ばれているこの世の大自然
生産物である過去が残す物質性と
今の出合いを選択する精神性の相対関係で成り立っている
蓄積された物質を遣り取りする権利の関係を資本と呼ぶなら
自然本来の食物連鎖と棲み分けを精神として
お互いの対等性と自由自在性を相対させないと
形ある摩擦界の掟を侵すことになる
部分同士の相対関係は循環という無限性によって
全体が構成されている

比較の無意味 171225

比較の無意味 171225
 
集うことでフラクタルでありながらの
お互いの個性を引き出し
それ自体全体でもある部分性の集合によって
更なる全体を見つけ出す手段とできる
 
違いを比較するナンセンスで相対するお互いを
分離させてしまうのは才走った愚かなことである

有限界に見る無限性 171225

有限界に見る無限性 171225
 
多様性を追求する先にあるのが無限性
集合体が限りなくネットしては離れる状態
このプロセスのどこを見ても似て非なる
点の運動による螺旋が螺旋を繰り返している
混沌とは流れるフラクタルの連鎖