騎士団長殺し 村上春樹 新潮社

騎士団長殺し 村上春樹 新潮社

 

読み出してじきに「なんとなく、クリスタル」が頭に浮かんできた

車にファッションなどの時代感覚や音楽への表面的な知識量を織り込む
おしゃべりな技巧的なところが似ているのかもしれない

兎も角時代背景をうまく取り入れ読者を惹き付ける博学な社会的価値観を
心得た小説に違いない


出だしは退屈なくらいにスロペースだったけれど
騎士団長の発見あたりから一気に読み飛ばすことになった

サスペンスとは異なるイデアだのメタファーだのを姿形として登場させ
人間を深く読み解いていくテクニックは素晴らしいけれど
芸術と言う単語が出てくるたびに色あせた薄っぺらなモノを
感じてしまうのも私にとっての事実である

結局小説というのはおおむね知性のある娯楽なのだろう