自発的隷従論 ポエシ ちくま

自発的隷従論 (ちくま学芸文庫)

自発的隷従論 ポエシ ちくま

 

公務員でありながら

客観性に飛んだ人間論を持った人によって

1500年代に書かれた稀有な本だ

 

人の本質には個としての自律心と

全体の一部としての依存心が共存しているのだろう

そのどちらが表面化するかによって

生き様が変わるのだけれど

自主的参加による集いから

余剰生産物の到来による社会の肥大化で

個人が組織に飲み込まれて以来

主従関係が蔓延することになる

そこで生み出されたのが

奴隷と戦争に支えられたギリシャにおける

民主主義モドキの貴族社会であり

このボエジの本である

 

つまり赤ん坊が親と環境に依存すると同時に

自由奔放に自己を表現するように

人間は本来冒険を愉しむ為に生まれてきた筈なのだ

主従という依存心に溺れるのは

生産物の奪い合いがもたらした物質文明の成せる業

 

お互いに競争原理の矛盾に気付き

信頼と切磋琢磨による調和を求めて精神性を取り戻そう