セーラー服の歌人鳥居 岩倉千景 KADOKAWA

 

 

セーラー服の歌人鳥居 
岩岡千景 KADOKAWA

 

教師であった両親と裕福ながらしつけの厳しい中で

父親に性的迫害を受け良妻賢母の母にも突き放されて

家出同然のシングルマザーであった母の服毒自殺に

11歳の少女は学校からの帰宅で出合い

死んだ振りをしているのだと思い

のり弁を水で飲ませようとしたりしながら成すすべもなく何日かを過ごす

保健室の先生に話したその後は

やる気のない行政官とイジメの蔓延した養護施設においての日々の虐待

そこでの楽しみは読み古しの新聞紙で漢字を覚えることぐらい

その後も補助金付きの小間使い目当ての里親や駆け込み寺のDVセンターや

同じように女中扱いでしかない祖母の家に暮らし

八百屋などでアルバイトしながら痴呆になった祖母の垂れ流しの世話をし

祖母が入院した後は

財産を狙う親戚に脅され追い出され

昼間はデパートのトイレで洗濯したりウトウトして

危険な夜は早足に町外れを歩き回るというホームレスになる

そんな中で新聞に載った和歌と出合い自己流で真似事を始め

様々な作家と作品に出合う中で食えない創作に励む

この本の著者は東京新聞の記者であり「作家が生まれるとき」の取材中に

鳥居と出合いその付き合いの中で鳥居の

「キリンの子鳥居歌集」の出版へと流れていく