近現代史をどう見るかー司馬史観を問う 中村正則  岩波ブックレット

近現代史をどう見るか
司馬史観を問う
 
司馬遼太郎本名福田定一大正12年は
産経の記者を経て小説家となり時流に乗る
明治維新前夜をこよなく愛すが
大正時代以後
特に太平洋戦争を含む昭和を忌み嫌う
歴史学者を凌ぐ評価を恣にするが
個人的な感情論と共に読者の傾向に沿う為に
純粋で一途な綺麗事の嘘を作り上げ
暗く臭いものに蓋をしてしまう三文小説が
綺麗に装った文体で書き上げた
見てきたような作り話がマコトシヤカになり
教科書や歴史を塗り替える程の
信用と評価を得て真実を葬ることになる
 
中でも驚くのは明治憲法天皇を空に例える
絶対の美意識である
曰く
明治憲法もまた他の近代国家と同様、三権が明快に分離していた。ただし天皇の位置は哲学で言う空に似ていて、行政においては内閣が各大臣ごとに天皇を輔弼(ほひつ)し、輔弼者を持って最終責任とした。
が、昭和初年軍は憲法について異常な解釈をしたのである。三権のほかに統師権があるとし、この魔法によって張作霖の爆殺と言う謀略をやり、続いて満州事変、上海事変をやることで三権を無視し続け、ついには統師権によって日本国そのものを壟断し国そのものをつぶした。」・・・