人生の意味の心理学下 アルフレッド・アドラー アルテ出版
岸見一郎の訳である
この本が内容に惹かれなければ読み続けられないほどに読みにくく
直訳のためもあるのだろうが
主語が2つも3つも重なる文章を「を」や「が」に起き直しながら
咀嚼し読み解く作業に多くのエネルギーを必要とすることの理由を
「訳者あとがき」を読むことで納得するに至った
つまりアドラーはナチスから逃れてアメリカに移民することで
なれない英語で講演し論文を書きカウンセリングをし
岸見さんも含めて根っからの率直で真面目な研究者であり
文章表現者で無いということなのだろう
説明が要領を得ずくどい上にテニヲハもおかしく
必要としているのである
その点でも「青年」の登場で一気に火がついた「嫌われる勇気」が
成功したわけを見て取れるだろう
分析科学で発展してきた西洋文明において
アドラーが全体観を以って世に問うた
過去のデーターに固執せず
今という現実世界と向き合う心理学者としてのカウンセリングが
目からウロコの実感をもたらせた功績は大きな衝撃だったのだろう
明治以来抽象的な全体観を疎かにして具象的な部分の
ディテールに取り憑かれて西洋文明に溺れてきたニホンにとっても
同じことが言えるのだろう
兎も角意味のある素晴らしい内容であることに違いない