健康で文化的な最低限度の生活1〜4 柏木ハルコ 小学館
地方公務員試験に受かった主人公を通して
生活保護の職員になってからの体験談という形で
その内情を紹介している社会派とも言えるマンガ
少し現状を美化し過ぎているようにも見えるけれども
このストーリーのように役人が前向きに取り組んでいてさえ
本末転倒した法律優先で矛盾だらけの板挟みに職員が苦しむと言う
遣り場のない実態を明らかにしてくれる
この本を他人事の物語として読むこともできるし
自己啓発本としても読めるが
はじめに法在りきの思い込みに縛られず
もっと根本的な法律のシステムそのものを
市民を縛るという消極的な上から目線でなく
純粋に市民一人ひとりの幸福の追求するという
再分配のための税金を預かる役場の目的が何かに立ち返り
社会問題として受け止めることもできる
あるいは人権という問題から読めば
一人の担当者という未完成の人間が見掛けの情報だけで
受給者である相手の暮らし方を判断して裁くという
傲慢で不公平で不正行為を可能にする条件だらけで
弱い所にしわ寄せするマイナー志向からなる制度を捨てて
前向きにとらえ直せば法制度そのものをシンプルにシナヤカにし
個人単位の完全な無条件にすることによって上下関係を無くして
差別などの人権問題を無くす事が可能となる
又そのことで個人の生きる意欲や
生き甲斐を掘り起こすことにもなると気付くべきである
二巻の第10話の3ページ目にある言葉が大事なのだと思う
生き方を最終的に決めるのは本人
本人の意志を無視して法律の枠や担当者の都合に力尽くで閉じ込めれば
反作用の摩擦で自害や反発のタネがくすぶることになる
お互いに未熟者同士が利己的に駆け引きするよりも
すべての個が無条件という同じベースに立って
それぞれの過去と思いで人生を選択していくことができる制度が必要なのだ
これこそが対等な切磋琢磨によって過去と未来の過渡期をつなぎ
過剰な摩擦のない相乗効果を起こすベーシックインカムの基本である
五巻目を読むのが愉しみである