日本の大転換 中沢新一 集英社 150426

日本の大転換 中沢新一 集英社 150426
 
核融合とか核分裂という原子力は太陽圏のものであって
相対性で成り立つこの世の生態系の外にあるもので
媒介するものなしに直接繋がることは破壊を容認することであり
在ってはならないことだろう
これは一成る完璧な存在を想定して
トロイの木馬のように驚異的な暴力となる猛毒を
抱え込むことと同じように
依存するしか無い環境に溺れることでしかない
 
資本主義も自然界に対する所有意識を正当化して
外部からの力に直接依存している点で
一神教や原子炉と同じ搾取と支配にオンブという構造上の欠陥を持つ
生命維持の生態系と意識上の生態系に対してリスクを発生する
 
資本主義は3つのリスクをもたらすという
市場におけるメカニズムが暴走して人間社会を破壊へ導きかねない
資本主義は自転車操業で搾取し続けていなければ転ぶ構造である
そのため無駄に生産と消費を続けることを要求する
従って資源を際限なく使い捨て生態系のバランスを破壊すると同時に
その廃棄物と二酸化炭素の大量排出で自らの首を絞めることになる
 
惑星である地球の生態系に属さない恒星である太陽のみが持つ力を
あたかも地球環境の自然として内側に取り込んで
仲間を支配するための武器として
操縦不能な核発電という「小さな太陽」を作り出してしまったが
その道具に逆襲されて共倒れの「飼い犬に手を噛まれ」て
「敵を呪わば穴2つ」に陥る
 
産業革命以前の市場は集合意識にコントロールされて過不足のない
需要と供給で循環する生命維持を可能にしていたが
産業革命以後の限りない不安による物欲と余剰生産物によって
集合意識を無視した権利意識と競争原理でお互いの信頼を壊し
敵対心に溺れてしまった社会には価値として計れない縁という
所有と無縁の繋がりの意識があるが
 
核発電という小さな太陽を持つことで人間は益々
外部から無償で与えられる太陽光線という贈与のエネルギーを
切り離してトーラスに閉じられた交換=搾取の自滅的な
資本主義の体質で人間社会を飲み込んでいく
 
こうして自らの首を絞めた資本主義は核発電を手放し
太陽の一方的な贈与性にすがることで
脱核発電に伴って脱資本主義を迎えることになる
次なる新しい自然エネルギー革命には自律した中庸性によって
外に開かれ無償で与えられる太陽エネルギーを受け入れることで
成り立つ経済システムへと転換していく
 
それはリムランド文明の再生となって
エネルゴロジーと名付けた贈与の関係を生み出していくのだという
そもそも太陽光線からなる膨大なエネルギーを利用している光合成
応用することになり
それは今現在に属す進行形の波の力であり水の流れであり風であり
バイオマスであり地熱の利用であり化学と物理の変化という
再生可能で移ろいながらも永久に循環する調和の姿であろう