生物は体のかたちを自分で決める ジョン・スミス 新潮社

生物は体のかたちを自分で決める ジョン・スミス 新潮社
 
「進化論の現在」ということで読み始めたものの
歯切れが悪くて読みにくい文で集中力を要した
だからこそ紆余曲折の思考中の流れが見えて面白いとも言える
 
メンデルを源とする
一個の卵が複雑に分化して個体を発生させる
今背後には遺伝子がデジタルな形式で体を作る情報を
伝えていると言う考え方がある(だれに?)
 
一方ではゲーテの自然哲学を源とする立場から
この個体発生をもっと全体的にとらえ
指示者がなくても単純に物理・化学の作用で
個体発生する自己コントロールシステムに付いても
考えられるだろう
 
発生遺伝学者はDNAの具体性に張り付き
この全体観を無視しがちである
今後双方の視野を広げるために
進化生物学その他との間で研究の調整が必要になるだろう
又この著者ジョン・スミスはあいも変わらずダーウィン
自然選択=自然淘汰に基いているらしい
残念ながら今西錦司四方哲也の「棲み分け論」や
リンマーギュリスの「生命の共生進化論」を受け入れていないらしい