サピエンス全史上 ユヴァル・ノア・ハラリ 河出書房新社

サピエンス全史(上) 文明の構造と人類の幸福 サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史上 

ユヴァル・ノア・ハラリ 河出書房新社

下から読み始めてたのですが問題なく読めました
表紙がグロテクスで幸福とは程遠いと感じながら
本を開いてみるとたしかに視点が深くて「下」よりも具体的で面白い
しかし帯にある池上彰堀江貴文の名前でドン引きした

最近の翻訳本を読むたびに思うことだが
日本語が乱れてきたのは翻訳言葉の影響が大きいのかもしれない
特に主語と敬語の扱いとテニヲハが気になる

さて中身だけれども
50ページからの認知革命によるゲノムを迂回する追い越し車線の話に至り
王権神話から国民主権や個人の意識が表面化したというが
未だにお上への依存体質が根強くはびこっている蜘蛛の巣から
離脱しなければと思う
遺伝子の突然変異なしに社会的行動の重大な変化は起こり得ないという

ローマもローマ人によって運営し続けたわでなく
かつての敵であった民族と融合し習慣や文化や婚姻の絆を通して
溶け込みあったのだそうだが
日本の歴史においても同じことが起こっている
天皇はどこの誰なのか?血や民族がつながっているようで切れてもいる
それを融合というか理解というか侵略というかは双方の意識の問題なのだろう

相対性時空間における
私とあなたは全体の一部同士であることで対等であり
あなたは私を映す鏡であり
私はあなたを映す鏡である点において似て非なるフラクタルな関係にある
例えば一人の人間を構成する臓器は一成る私の部分として
それぞれが別の手段と目的を持ちながら全体を支え合うことを目指して
対等で自由自在な関係を維持し続けている
同じようにあなたも私も個であると同時に
更なる全体を構成する臓器の一つとして自由に自律しながら
信頼によって連携するパラドキシカルな存在として対等な関係にあるわけだ

著者はグローバル帝国が次の社会を支配する組織だと言うが
その頂点にたどり着いた時点で物質至上主義が霧散し
集合意識を伴う個意識が目覚めて視点を俯瞰による無限に置いた
見渡せる限りの全体を視野に入れる環境となるように思える
そこでは競争原理の嘘や秘密をベースとする搾取や支配に依存することなく
利他性による切磋琢磨の信頼関係をたのしむ個々の選択を優先とする
緩やかにつながるボランティア組織となるだろう