隷属なき道 ルトガーブレグマン 文藝春秋

隷属なき道 ルトガーブレグマン 文藝春秋
AIとの競争に勝つベーシックインカムと1日3時間労働
 
原題を「UTOPIA FOR REALISTS」と言う
 
すべての人に理解してもらいたい本である
中でも官僚を始めホワイトカラーに読んでもらいたい
客観性と具体性に満ちた説得力のある内容で歴史を紐解き
近未来を想定する有史以来の対立関係から
共生関係に社会を脱皮させるための手続きが示されている
洗脳されてきた競争原理を卒業して
切磋琢磨の共生関係を目指す事を可能にする
広告のないWEBメディアで描き出す次の時代の処方箋である
 
AIとロボットの出現で社会の主流をなしてきた中間層が無くなり
貧富の差が限りなく広がり続けているこの時代に必要なのは
余暇を十分に活用できる意識改革であり
それを支えるユニバーサルベーシックインカム
社会的な生産に関わる労働を減らすことであると言う
コレが機械への隷属を卒業して
対等性と自在性を生み出す意識革命の道である
 
貧困は人間個々のIQを13ポイントも下げる
貧困家庭の子は見栄とプライドで奨学金を避ける
差別的で損得の福祉だと依存してしまうが
安心と信頼を生み出すBI制度ならば自主的に選択して行動しだす
BIはジョンソンやニクソン政権下で実現寸前まで行ったが
ニセの統計に騙されてツマズク
ケインズが2030年までに週15時間労働になると
1930年に予言した
1960年まで減り続けた労働時間が
80年代から女性の参加もあって増え始めた
現在62人の大富豪が持つ富が
底辺の35億人の総資産よりも多い
国境の開放で労働力が移動し世界の総生産は67%以上増える
米人の仕事の47%と欧州人の仕事の54%が
20年以内にAIに奪われる
 
余剰生産物が多くなるほど再分配を掠め取る経済システムが作られ
ホワイトカラーという生産に関わらない無味乾燥な仕事が
利益の多くを吸い取るようになる
生産に注ぎ込まれるはずの株はデイトレーダーによって利権に利用され
社会の手段であった経済を目的にお仕上げる
人間本来の目的であった出合いの選択と
切磋琢磨による意識の向上と言う日々の冒険を失い
生き甲斐もやり甲斐も無くしてしまう
 
嘘をつき相手をだまして奪い殺すという所有欲を満たすだけのために
不安恐怖の中で過去の権利と暴力に依存する無味乾燥な人生に
落ち込む情けない生き様になる
そこに登場するのが完全無条件のベーシックインカムなのである