エサウ フィリップ・カー 徳間書店

エサウ フィリップ・カー 徳間書店

封印された神の子

 

このサブタイトルは最後の最後になって理解できた

理想的な成長を遂げた人間集団を個々に見ることができるが

今の社会状況では望み薄である

最も意識状のクーデターは一瞬に目が覚めるものだと確信するが

 

フィクションとして奇想天外にあふれた小説でありながら

ノンフィクションとしてのドキュメントに裏打ちされた内容が

しっかりとしているので読み応えがあるのだろう

 

SF的でもあり思想的でもあり倫理的でもあり

混沌たる時代としての全体観をとらえているので

細切れにされたドキュメントよりも奥深い面があるところも

納得の行くところである

 

切り口は考古学と人類学なのだけれど

登山という舞台があって様々な学問が絡み合うという

小説ならではの夢の設定があり

駆け引きに歪められた政治の矛盾が力尽くで入り込んでくるという

スペクタル小説である