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日本人になった祖先たち 篠田謙一 NHK

日本人になった祖先たち 篠田謙一 NHK

 

ミトコンドリアDNAの分析技術の進歩により大きな事実が見えてきた

骨の遺伝子から家系部とは別の母性系列のよる祖先を遡る

その結果一人のアフリカ女性に人類全ての発生を見ることができる


考古学や人類学とは別の観点から紐解く日本列島人

旧石器人・縄文人弥生人・・・現代人の有り様を地球規模の流れの中で

読み解いていく新たな証拠と展望

見てきたような小説もどきであったかつての

バラバラの証拠をつなぎ合わせながらの推測も面白いけれども

証拠の隙間を埋めるDNAに刻まれている暗号を解くスリルは格別のものだ


更にスゴイのは第十章の「DNAが語る私達の歴史」である

未来を見通すDNA的世界観へと導く著者の思想と人間性

末法と呼ばれるこの混沌と行き詰った暴力社会の夜明けが見えてくるようだ

 

205ページ以降を読み解く

国家と民は別の存在と考えるべきである

国ができる前にそこに住んでいる様々な民がいるわけなので

侵略にならないようにこの基本を認識している必要がある

直接の子孫と周辺に暮らす親戚がいることも考えて行動する必要がある

近い関係ほど複雑な利害関係が生まれるのでだけれども

本質的にいがみ合う必然性などないことを理解している事が大事

血統とDNAをどうとらえるか

血統とか家系は利己的な対立を生み出し

競争とか権利とか所有という概念によって争うことにつながる

これを遺伝子情報から紐解くと一人ひとりが2万個以上の遺伝子からなり

それだけの数の系統をお互いのもっていることになる

男をイメージしてしまうY遺伝子もその2万分1にすぎないことを

認識するべきなのだろう

核のDNAは受精の度に組み換えされて伝わるので系統を遡ることは不可能

ミトコンドリアDNAやY染色体のDNAも集団的な解析を可能にするだけで

個々の過去を探し出せるわけではないことを理解しておく必要がある

個々の遺伝子が何万年もの長い歴史を持っていても

その組み合わせは一人ひとりのものであると同時に

様々に立体的なネットを構成しているというわけだ

人類皆親類であり大家族の中の個性ある一人ひとりだということだ

 

原則として交流は緩やかに流れることが大事で

旅する者が侵略にならない形を選ぶ必要がある

数の論理で相手を破壊するのではなく

切磋琢磨による発見と変化をたのしむべきなのだ

過去をベースとする経済などの物的な社会価値観にのみに
とらわれたグローバリズムでなく

意識という全体観をベースとするグローバリズムを視野に入れた

両輪によるバランスの取れた未来を創造していくことが

調和を目指す幸福感でお互いの心を満たす唯一の方法なのだろう