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鳥獣害 祖田修 岩波新書

鳥獣害 祖田修 岩波新書

 

日本中の里山にイノシシやシカやカモシカ

クマやキツネやタヌキやサルに

外来種ヌートリアやアライグマやヘビやカメや

クモやトカゲ

更にはインコやブンチョウやオオムなどが徘徊しだし

街にまで出没して人に混じって信号を渡るようにまでなった

 

無責任に餌付けして可愛いで済む間は問題ないけれど

味をした野生の動物達が

田畑を荒らし家畜を襲い家に入り込み

人をも襲い持ち物を奪うようになるころには

知恵がついて豊富な餌によって手がつけられない数に成長してしまう

 

人間世界も物が溢れて退屈になり利己的な気持ちで

エセリベラリストや自称有識者というインテリ-達が

狭い視野で動物愛護運動などに夢中になって

甚大な被害にやむを得ず農家や林業家が野獣を

追い立てたり殺したり食べたりするとヒステリックに騒ぎ回る

その上義務も責任も考えずに権利の主張ばかりで

旅の恥はかき捨てといった感じに餌をやったりして弄ぶ

 

西洋では大自然が人間のためにあるという選民意識にあり

東洋では全てが対等な関係だとする共生観にあり

依存心による支配欲の強い者が相手の固有の文化などお構いなしに

侵略して来たのが有史以来の今に至る歴史である

デカルトは動物が意識を持たまい機会であると主張し

フェリはキリスト教の教えは

人間が全ての権利を持つという人間中心主義だと発言している

ダーウインも《人間の由来》や《種の起源》で進化論や突然変異に至り

迷いながらも競争と自然淘汰を柱にした論理でまとめている

それに対してピタゴラスは輪廻転生の思想と

数の原理が存在の構成原理であるという二極の自然観を持っていたという

今西錦司は棲み分け共存の自然観を主張していた

これに対して祖田修は現実の知識と技術において人間だけが特出しておる以上

自然界の鉱物に植物に動物の全てを支配して依存搾取するか

リーダーとしてお互いの対等性を維持する役目を買って出るかの

どちらかにならざるをえないとする

そして人間の生活と精算の空間と野生動物の侵入排除空間と侵入許容空間と

野生動物の生活空間及び林業空間の四つからなる環境を推奨しているが

少し誤魔化しているように感じる

やはり円の全体観の中で力あるものが謙虚になって

対等に棲み分けと食物連鎖による環境を用意して共生すべきなのだと思う

人間社会が充実していれば動植物が侵略してくることなどないはずである

 

一時にまとまって押し寄せて棲み分ける間もなく傲慢に侵略するのと

謙虚な旅の者と文化交流するのとでは問題がまるで違う

競争と切磋琢磨と同じように真逆の内容である

 

この本の後半は全体観に添う調和を目指す大自然の摂理

浅知恵がつき過ぎて神に成り代わってこの世を支配する気になり

視野を狭くして自滅に向かう部分感に溺れた人間の振る舞いの落差の現状に

人間自らがどう気付き抜け出せば良いのかを模索する内容である

とても深い気付きを持った意見である