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謡曲を読む 田代慶一郎 朝日選書

謡曲を読む 田代慶一郎 朝日選書
 
謡曲を能から離れて詩として読むと共に
その歴史的な背景にも踏み込む文学論
文学としてたのしむ風習が西洋にはあるが
ニホンでは音楽劇の一部として
全体をたのしむ文化を大事にしてきた
 
この点に触れるならば
一成神に従う西洋文化&文明の歴史と
多様性を基本とする全体感からなる
東洋的文化のちがいから語らなければ
本質に辿りつけないと思うけれども
面白い試みであることに違いない
 
題材には熊野=ゆやと景清=かげきよと蝉丸=せみまる
という異色の三曲を取り上げている
例えば
熊野は平宗盛に見初められて東国から
囲われものとなった熊野という女の暇乞いに関する
心の揺れを描いた物語で
嫉妬モノの多い能の中で異色な存在である
 
景清は能独特の切り口で
他の武勇伝を描いた歌舞伎などと一味違い
九州に流された景清を慕って名古屋から訪ねて来た
親子の対面と別れの話
 
蝉丸は価値の転換を見せる思想劇
出だしの三行の75・74音節による次第で
舞台の始まりや場面の転換や切り替えを促す舞台装置
次第の言葉は曖昧であり先の見えないまま
創世のリズム・世界誕生のリズムで場を共有する