ネアンデルタール人類のなぞ 奈良貴史 岩波

ネアンデルタール人類のなぞ 奈良貴史 岩波
 
どこを読んでも発見のあるたのしい本だけれども
139ページと最後の私達の未来に関する助言は
幸福を目指す社会を考える上で大切なことだと思う
 
一つは大脳新皮質の量と自己管理できる人口問題
つまり社会の大きさに相関関係があるという発見である
人間の場合50人から150人ほどの集いが適正だという
アメリカ・インディアンやアボリジニの歴史を見ると
見事に200人前後の村を横につないでいる
組織図を見ることができるし
現在の狩猟採集生活を営んでいる民を見ても
同じような規模で暮らしているようだ
 
補い合う棲み分けから所有という依存に偏り
搾取と支配を目指す人間集団が現れるほどに
社会構成を始めあらゆるものが大きく膨らんできた
中央集権である
その最たるものが資本主義であり金融による縄張りである
この目に見えない架空の金融という概念が
敵の見えないあるいは敵を自分の中に抱え込んだ
混沌として淀んだゲリラ的腐敗をもたらしたのだろう
 
補い合うフレキシブルな柔軟性をもつ経済という
生きるための手段を逆手に取って
奪い所有するという目的に格上げして
人生を縄張り空間に閉じ込めてしまう
そこには交流を阻む内と外のボーダーが生まれて
対立を余儀なくさせられ
信頼関係から闘争関係に陥ることになる
 
別の一つは
その昔人類には多くの亜種が存在し共存していたが
多くの種族は自滅していったようである
その理由は環境に合わせて肉体を同調させ続けたが故に
段々と身重になって自然環境の変化に遅れを取り
遂には身動きが取れず滅亡していったという見解である
 
これに従って生き残った現代に生きる我々を見ると
同じような墓穴を掘っている姿を見ることができる
機械と概念的な金融システムを中心とした唯物文明に
邁進することで全体の流れである循環を忘れ
永遠の発展を求める依存という崖っ淵に
自らを追い込んでいるのではないか?
NWOによる世界制覇の野望は
行く場所を失う最後の崖っ淵であり
全ての損得に迷える人間が長く見えるモノに同調して
巻き込まれてしまうのではないかという危惧である