ハラーム「禁忌」ユーセフイドリース 第三書館

ハラーム「禁忌」ユーセフイドリース 第三書館
 
エジプト人が描く中等社会の内面
ナイル・デルタ農村の用水堀に産み落とされた
胎児の死体から始まる差別社会における責任転嫁と
対立が緩む人間関係を通して
社会問題を深掘りしていく
 
虐げられてものだからこそ失っていない
無垢な心を持ち続けている人々
中でも女性の立場を中心にすさんだ利己心に
閉じこもった社会的価値観の現状に怒りと慈悲を持って見つめ
混沌なるエジプト社会を掘り起こす
 
186ページ:「あたかもハラーム(非)だとされる行為も
一度皆で一斉に犯してしまうという同意が成立すると
何の疑いを挟む余地もない快いハラール(是)となってしまう」
現代社会を解き明かす
 
著者は社会的価値観に負けず過去にまつわる權利を捨て自分を貫き
医者でもあり社会活動家でもあり作家でもあるという
切り開く冒険の人生を選んできた強い人だと言えるだろう