イワンの馬鹿 トルストイ あすなろ書房

イワンの馬鹿 トルストイ あすなろ書房
 
子供の書籍に分類されていたけれども
訳の単語も文体も古臭くて通じないだろうと思って
奥付を見たら2006年初版だというのに
1913年生まれに北御門さんという人の翻訳だった
 
気になって1963年初版の古い翻訳を読み比べてみたけれども
まだ現代文に近いように思えた
 
まあこれはこれで良いのかもしれないけれど
何度か読んだ大人が読んでも違和感があるものを
初めて読む子供に贈る気にはなれない
 
内容には奥深いものを感じ取ることが出来る
例えば徹底したお人好しが結果として
悪魔の誘いにも騙されず一成る神の教えに近く
相対性時空間というこの世の真理にも近い生き方ではないかと
問いかけているとしてもかなりの遠回りで
余程深読みしなければ何を言わんとしているのかすらわからない
 
又一成る世界と相対成る世界が織りなす環境を対立させているばかりで
肝心なこの摩擦界の意味に踏み込んでいないことが残念である