物質の究極 パージェル 地人選書

物質の究極 パージェル 地人選書
 
字も小さいし少し難しいと思う所もあるが
読み返してみると「は」の付く主語もどきの
言葉が言い訳の続く文に二つあったり三つあったりする
テニヲハや語順を入れ替えることで
理解できるようになったりすることを除けば
難しい数学入の物理学の本とは思えないほど
わかりやすい内容だとも言える
 
146ページに面白い言葉がある
無限時間について考えるとお互いに相殺し合い
矛盾を消しゼロとなる
真空は存在と無との間でランダムな歪みを繰り返す
 
164にはサイコロを振る神の手における量子的粒子の
完全な同等性は新たな量子確率という交換力の手品を見せる
26個の文字はお互いに等しいが単語や文になると
多様な違いを見せ可能性を生み出す
同じように宇宙もその素材となる素粒子は数えるほどだが
原子や分子や生命となるに従って無限の多様性を示す
 
著者は何故抽象的な精神による発明である数学と
物の世界を解き明かす物理学にどんな関係があるかと問い
内的な論理と物質創造の論理の間に関連があるとは思えないと言う
エレガントな数学的対称性を適用することによって
対称性が相互作用を意味することを学んだともいう
最後のところで論理性をハショッているように見えてくる
 
自然をひたすら観察するという物理学はオカシナ事に
心とか意識というモノを無視してモノの一面に特化し
自然界が一つの統合された理論から始まっているという
勝手な前提条件の上に組み立てていることである
つまり題名が示している通りの客観的唯物論でありながら
唯一無二の一成る神による支配の存在を意識して
スタートしているのである
それに引き換え数学は損得感などなくシンプルである
 
それにしても
この著者も一神教に侵された依存者から卒業できていない
生命の多様性を単なるバラバラの差異としか捉えられず
意識の繋がりという全体観を見失っているようだ