焼跡のイエス 石川淳 日本文学全集
 
戦後すぐの闇市物語
今で言えば小説というよりも随筆のようでもある
戦争物だというのに
エグくもないし今よりも心が平坦だったのだろうか
 
最後の晩餐なども
タイトルからして額縁に入っているように
どこか折り目正しく整然としている
 
ドキドキするような怖さもないし
安心して深読みできるユックリさがある
怖さはないがつくづく暴力支配の結果である
作られた戦争の理不尽さを思う