跳びはねる思考 東田直樹 イースト・プレス

跳びはねる思考 東田直樹 イースト・プレス
 
東田さんが22歳になってまとめたエッセイ集です
言葉の端々に新鮮さを感じます
「毎日の生活の中で重要なことは注意された今日とは違う明日が来ることを信じ続けることです。明日に希望を求めるのではなく、今日のやり直しを明日行うのです」
「歴史から学ぶことは多いです。戦争や差別についてなど、繰り返し同じ過ちを犯すことに興味があります」
「一年後の未来が分かったとしても十年後の未来を知りたいと願うでしょう。すると未来は現実のものとなり、夢も希望も無くなってしまう。不安が悪いのではなく、不安を抱えながらでないと行きていけない社会が問題なのだ」・・・など
あるいは「体にはおもりが付いている。しかし思考はどこまでも自由なのです。」
「魂とは持って生まれたもので、心の働きをつかさどるものです。魂が自分を守っていると思えたなら、心配はないです。僕が浄化される時、ようやく僕と魂は、別々の道を歩ものです」
あと、自閉症である彼が普通の状態を思い描くことはあるのだけれども、他の傷害について理解するのは難しいという話もありました
 
今回のエッセイで1つ気になったのは
読者を意識した表現と思考です
結果として自己啓発系や癒やし系の本になっているような気がします
その点で「僕が跳びはねる理由」と違って来ているように感じます
 
この本を理解する上で手引となったくれたのは
エッセイの合間に挿入されている「インタビュー」です
彼の暮らし振りを通して自閉症の日々を的確に具体的に知る上で
要となってくれるのもこの本の特徴でしょう